【HabuColumn】玉城久美子 #19
By habu-connection On 30 4月, 2019 At 12:12 AM | Categorized As HABUコラム, 玉城 久美子 | With 0 Comments

【HabuColumn】玉城久美子
#19 大型連休にもってこい!長編ミステリー小説『宝島』

こんにちは。沖縄ライフスタイルアドバイザーの玉城久美子です。
平成最後の(使ってみたかった!)テーマは、「読書」です。
2018年度直木賞受賞作品の『宝島』、もうお読みになった方もきっといらっしゃいますね。
500ページを超える長編小説を、私は久しぶりに読みました。

舞台は1952年〜1972年までの沖縄。
コザ(沖縄市内)の街を中心に描かれたこの作品のあらすじは、以下の通りです。
「英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。
固い絆で結ばれた三人の幼馴染み −− グスク、レイ、ヤマコ。
生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。
少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。」
(上記、「講談社BOOK倶楽部」より抜粋)

もう少し補足をすると、この小説を象徴するキーワードは「戦果アギヤー」です。
米軍統治下におかれた沖縄では、衣食住全てに事欠き困り果てた住民が、米軍基地に忍び込んで物資を盗み生活の糧にするという時代があり、その物資を「戦果(せんか)」と呼んでいました。戦果をあげる人=戦果アギヤーです。
戦果アギヤーの英雄的人物「オンちゃん」が忽然と姿を消したところから物語が展開するミステリー小説ですが、登場人物のキャラクターのせいか 沖縄という土地柄やこの時代の独特な感受性を表しているのか、破天荒な描写も多く目が離せません。

全編をリードするのは統治下時代を象徴する実在の事件で、それらと並走しながら進行していく様は、フィクションでありながらもグイグイ迫ってくるような現実みがあり、興味深く読み進めることができます。

また、時代に翻弄される沖縄の人々の生活を、リアルに感じられる作品でもあります。
貨幣通貨はB円というオリジナル通貨を経てのドル、車は右側通行という時代です。
もちろん食生活も大きく変化しました。
小説ではポークランチョンミート、メリケン粉、米軍兵向けのステーキハウスなどが登場しますが、昔ながらの食文化とアメリカナイズされたそれとが混ざり合う様子が所々に描かれ、現在の沖縄食文化がこの時代を経て形成されていることが伺い知れます。
現世とあの世に切れ目がないような不思議な交わりの描写も、沖縄に根付く心の有り様であり、何となく腑に落ちてしまう感覚で、私にとっては違和感のないものでした。

これ以上書くと、ネタバレになってしまいそうです(笑)。
長いお休みを取れる方にオススメの一冊ですので、ぜひお手に取ってみてください。
電子版もあります。

次回のコラムは令和元年の発行となります。引き続き宜しくお願いいたします!

○参考文献○
・『Coyote コヨーテNo.22』((株)スイッチ・パブリッシング編集)
・『ナツコ 〜沖縄密貿易の女王〜』(奥野修司/文藝春秋)
・沖縄県公文書館「1958年9月16日 B円からドルへ法定通貨の切替え」
https://www.archives.pref.okinawa.jp/news/that_day/4578


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