【HabuColumn】玉城久美子 #20
By habu-connection On 10 5月, 2019 At 10:56 AM | Categorized As HABUコラム, 玉城 久美子 | With 0 Comments

【HabuColumn】玉城久美子
#20 令和元年に考える「ヌチグスイ」

こんにちは。沖縄ライフスタイルアドバイザーの玉城久美子です。
いよいよ新元号「令和」、新時代が始まりました。
どんな時代になっていくのでしょうか・・・? 楽しみです。

さて、令和第一号となる今回のコラム、何をテーマにしようかと、あーでもないこーでもないと考えていましたが、沖縄の良さを表す言葉『ヌチグスイ』について考えてみたいと思います。

ヌチ=命、グスイ=薬、直訳すると「命の薬」となるこの言葉。
文字通り 栄養になる体に良い食事のことを表したり、とても美味しい料理をいただいた時に使う表現です。
更には 人の優しさや愛情に触れ、穏やかで温かい気持ちが湧いてきたり、とても楽しい時間を過ごして心が元気になったり、そういった状態を表す言葉でもあります。
「沖縄の地元の人と交流し優しい気持ちに触れた、癒された。」そういったことを感じて沖縄が好きになるという方も多いのではないかと思いますが、まさにそういう体験や湧いてきた感情がヌチグスイです。
沖縄に行く、沖縄ではない場所で沖縄料理を味わう・沖縄の音楽を聴く、何かのタイミングで沖縄に触れた時に「ヌチグスイ」を感じていただけるのだとしたら、それが沖縄のもつ効果・効能なのかなぁと思います。

話を食に戻し200年ほど時代をさかのぼりますが、琉球の食文化は中国から学んだ薬食同源の思想が基本となっています。
ですから、「ヌチグスイ」または「食はクスイムン(薬になるもの)」という考え方が根付いており、沖縄の食は健康長寿食とも言われます。
最近ではすっかり長寿県のナリは潜めていますが、昭和初期頃の家庭における日常食においても、「薬効のある食品は、くすいむん(薬用食)として日常生活のおりおりに意識的に摂取される」(『聞き書 沖縄の食事』より抜粋)という記述があります。
昭和初期から今日まで80年以上の時を経ていますが、琉球料理の考え方は、形を変えてこれからの時代も変わらず役に立つのではないかと思いますので、その一部をご紹介します。

【豆腐、芋、野菜中心の食生活】
琉球四大食材は、①豆腐、②芋、③昆布、④豚肉 ですが、豚肉はハレの日のご馳走であり、日常の家庭食においては、豆腐、芋、野菜、海藻(魚がよく獲れる所では魚)が食事の中心でした。
特に、安くて栄養価の高い豆腐は高い頻度で食卓に上り、チャンプルー、味噌汁、煮物、白和えといった具合に とにかくよく食され、豆腐単独で食べるというよりも、他の食材と一緒に調理して様々な栄養素を組み合わせつつ、腹持ちが良いというのがポイントです。
市販の木綿豆腐をしっかりと水切りしたり、もしくは厚揚げを使うことで島豆腐の代用とすることができますので、色々な料理に加えてみてください。

【一汁一菜、一汁二菜 – 品数は少なくとも実だくさん!】
実だくさんの味噌汁が代表例ですが、一つの料理に色んな食材を加え、栄養素を補完する献立です。
品数を幾つも作らずともお腹いっぱいになれる、当時の理にかなった食事スタイルだったことでしょうが、忙しなく毎日が過ぎていく今の時代にも非常に有効です。
忙しいにも関わらず料理に時間をかけ献立に頭を悩ませることを止め、彩りの良い実だくさん味噌汁を作って一食とすることも良いのではないでしょうか。

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【だしの旨みで滋味を味わう】
だしを多用した琉球料理は数多くあり、複数のだしを合わせて旨みを重ねることも琉球料理の特徴です。昆布や椎茸といった乾物もよく使い、戻し汁も活用します。
いつもいつも出汁を引くのは面倒ですが、最近は良質な出汁パックも多数出回っていますし、鰹節や昆布を一晩水に浸けておけば、水出しの澄んだお出汁もできます。
だしを加えずとも、炒め物や煮物の仕上げに削り節を振り掛けることでも良いでしょう。
体に良いだけではなく、だしの旨み・食材の旨みを感じるか否かで食事の満足度は大きく違うことを感じるはずです。

【塩を使いすぎない】
チャンプルーや汁物など、塩味ベースの料理も多いですが、だしの旨みを活かして塩を使いすぎない(旨みでもって薄味でも美味しいと感じさせる)調理法も無視できません。
塩分の強い漬物を食べる習慣も、かつてはなかったようです。
言うまでもなく ある程度の日々の塩分補給は必要ですが、必要以上に摂りすぎない工夫は、今の時代こそ必要です。
余談ですが、沖縄の天然塩は精製塩に比べて総じてナトリウム含有量が少なく(他のミネラル成分が多い)、つまり食塩相当量が少なめです。
ミネラル分のバランスや製法により、随分味わいも違います。
そういった観点で、自分の好みに合う塩を探すのも楽しいかもしれません。

以上、琉球家庭料理を構成する考え方を、ほんの少しシェアさせていただきました。
自分の心や体が安らぐ食を積極的に選択し、新たな時代を自分らしく元気に過ごしていきたいものです。

○ 参考文献 ○
・ 『一汁一菜でよいという提案』(土井善晴/グラフィック社)
・ 『聞き書 沖縄の食事』(「日本の食生活全集 沖縄」編集委員会 編集/社団法人 農山漁村文化協会)
・ 『大琉球料理帖』(高木凛/新潮社)
・ 『松本嘉代子のイチから琉球料理〜家庭料理の作り方〜』(松本嘉代子/タイムス住宅新聞社)


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